ほんとあっという間に放課後。体育館での
生徒会総選挙練習。
大体、1000人近くいる生徒の前で発表とか…
まじかよ……
「はーいほら始めるわよ〜」
って声をかけたのはあの優香先生。
「はいはーい?
まず、男子の生徒会長立候補者手を上げて」
俺…か……
手を上げて周りを見ると
他のクラス奴が4人、俺を含めて5人だ。
5分の1の確率か……
「はいはい5人ね、次!女子は?」
次はめい……
めいも手を上げて、合わせて3人。
めいはいつもに増して緊張した顔をしていて
肩が上がっていた。
「おっけ」
「じゃ、今からスピーチ練習してねーほら」
……て雑すぎね??
この先生。いくら保健室の先生っつても…。
まあ、
……そんなこんなで練習も終わって?
5時半。
「めい、帰るぞ」
そう声をかけると、めいはビクッとして
「……颯太…うん帰ろ」って
震え混じりの声で言った。
さっきのスピーチ練習なんて
自分のが終わったら帰れなん
「めい、帰るぞ」
そう声をかけると、めいはビクッとして
「……待ってたの?颯太…うん帰ろ」って
震え混じりの声で言った。
さっきのスピーチ練習、
めいどうだったのかな…………
なんでめいのが見れなかったかっつーと
「自分のが終わったら帰れ!!」なんて
あの保健室の先生が言うから……
めいを靴箱で待ってた。
帰ってきたらこの震え具合。
……めい。明日大丈夫かよ……。
俺はめいは生徒会にもとから入ってたし
しっかりしてると思うから……
大丈夫だろうけどよぉ……
そんな不安を抱えながら
めいと2人で帰って、明日を迎えた。
ーーーーピピピーッ!!!
目覚ましのうるさい音……。
今日はまだ、眠い。
だっていつもより1時間も早いから……。
今日はとうとう本番……。
私、大丈夫かなぁ。
いきなり本番で真っ白になったりとか……
ブルブルッ!!
考えただけでも震えてきた…
でも…颯太との電話を思い出して
私は頑張れるんだ…
よぉし!頑張ろう!!
いつもより1時間早く家を出て、
教室でひとりで練習して……
当選できるように……!!
よく考えたら、最初はあまり会長に乗る気じゃなかったけど、
今は絶対に当選したいって思ってて…
こうやって頑張れるのも、
全部、颯太がきっかけ……かぁ
また、お礼しなきゃ…
1時間目の集会でスピーチをして、
7時間目の集会で発表……か……
全部今日1日で決まっちゃうよ!!
いやだぁああ
せめて明日に……
なんてぐるぐる考えていたらもう学校についてから30分経って、7時半。
やばいやばい!練習練習!
練習を始めようとしたその時……
ーーーガラガラッ。
教室のドアが開く。
そこには……
「……めい?」
「……颯太?なんで……」
ーーーーー颯太がいた。
「いや練習しよーかなって」
しかも颯太から出てきた言葉にわたしは
目を見開いてびっくりした……
練習って颯太には必要ないかなって
思ってたから……
だって昨日のスピーチも完璧だったし……
何でもできちゃうんだもん、颯太は。
「……颯太でも練習するんだね」
「いやするだろ……」
って呆れ顔をしてから、突然キリッとした顔になって練習をして……
黙々と2人で練習を始めたーーー。
段々人も多くなってきて、
朝から応援の声をかけてくれる友達もいて…
美咲がギュッとしてくれたし……
また、頑張ろうって思えるんだ。
もう8時15分前。ホームルームが始まる前。
ホームルームが終わったら急いで舞台袖……
迫り来る時間に私も焦りを覚える。
けど……大丈夫!って言い聞かせて……
ホームルームが終わる。
私は颯太の言葉を思い浮かべて
緊張を失くして、舞台袖へと
歩いた。
もう、8時15分……。
あと15分でもうスピーチ……。
はやいよ……ほんとに…
……颯太は大丈夫かな…
チラッと颯太を覗く。
……心配損。
颯太は友達とケラケラ笑ってるし…
……っ!
パッと颯太と目が合って、颯太が
友達を横切ってこっちに歩いてくる。
「……なに?緊張してんの?」
「……別に」
めちゃくちゃ緊張してるのと裏腹に
別になんて言っちゃうし……私のバカ…
「……そ。ま、めいなら大丈夫。」
「なんでそんな言い切っちゃって…」
グイッ…
颯太が私の腕を引っ張って
みんなに見えないカーテンの中に入る
「……っ颯太何してっ……」
……コツンッ。
「お前ならぜってー大丈夫。」
「俺が保証する」
また……耳元で囁いて…
頭を私の肩に置いて……
多分……颯太なりの励まし?なのかなこれは
「……えへへっ……ありがと…っ」
「私、頑張るね……」
やっぱり顔に不安って出てたのかな……
それとも颯太だから分かったのかな?
分からないけど……
いつも颯太は私を助けてくれる
ヒーローだなぁ…
「……おう」
そう言って、私達は大勢の拍手に包まれて
全校生徒の前で堂々と
スピーチをした……
めいは明らかに不安そうな顔をしていて
こっちを一瞬見たから……
引っ張ってカーテンで誰にも
めいが見られないように……って
俺なりに励ました…つもり。
伝わったかわかんねぇけど…な。
しかもその後5分とせずに始まるし、、
多くの拍手の中に俺たちは包まれて
ステージに上がる。
淡々と進んでいく司会に
女子は残りめいだけ。
……めい大丈夫かよ…。
不安……だけど……
チラリとめいを横目に覗く。
……っ!!
……これだから目が離せねぇんだよめいは。
そこには周りを引きつける凛とした
キッとした目。
生徒の皆には一切緊張してることを
伝わらせないような、強いめいの姿があった
「お次は……花崎めいさん!!」
「スピーチをどうぞ!!」
その司会の声で全校生徒がめいが
大きな拍手の中で壇上に立つ。
その姿は……
いつものめいからは想像出来ない姿でーーー
……。
俺も、カッコイイって思うよ、ホントに。
「まず、私は
沢山の人に支えられて今があります。
小さな頃から支えてくれた幼馴染。
今を支えてくれるクラスの皆。
私を応援してくれる、先生方。
その期待に答えるべき、精一杯努めます!
私は……」
やべぇ。めい、かっけーよ!!!
初めて……こんなめいを見たわ、俺。
もうダントツのめいのスピーチ……
他の立候補者がもう下を向いてるし…
「…投票よろしくお願いします!」
めいのスピーチが終わった……。
……。
生徒は拍手の手が止まる。
それから……
パッ……パチパチパチ!!!!
どのスピーチ者よりより
大きい拍手が会場を包む。
めいはほっとした表情で……
「素晴らしいスピーチでしたね…」
司会者もめいのスピーチに予想外すぎて
驚いてタジタジだ。
……っはぁ……俺も頑張ろう……
「お次は男子で 綾瀬 颯太さんお願いします」
「……っはい!」
キャァーッ!!!
……パチパチパチ!!
奇声と拍手に包まれて
俺は無事に
スピーチを終えたのだった。