フワッ



え・・・っ



透也が、後ろから抱きしめるような形で私の手を握った。



「ほら、切れよ」



耳元で囁いてくる透也は、わざとしてるのか、たまたまなのか分からない。



「おい、聞いてんのか?早く」



私がドキドキして、手を動かせないでいると、そんな声が私の耳に降ってきた。



「・・・っ」



透也に、耳元で囁かれる度に、なぜかゾワゾワする。



「杏奈?聞いてんのか?」



「・・・っ」



これ以上喋られると、私の耳が持たないっ



「わ、分かった!分かったから喋らないでっ」



「ん?お前、もしかして耳弱い?」