☆☆☆

自室へと戻ったあたしはベッドに座り、薬をすべて取り出した。


どれだけの量を服用させればいいかわからないが、あるだけ全部飲ませてやるつもりだった。


あたしはジットリと汗がにじむ手で包帯を解き始めた。


傷口に薬を飲ませるなんて、そんなことをすることになるなんて、考えてもいなかった。


何重にも巻き付けた包帯がほどけるとそこから顔が現れた。


目はあたしを見て、口元はニタリと笑っている。


最初の時は雄生の顔に似ていると思っていたけれど、今膝にできている傷は女性的な顔をしている。


まさか、切り取るたびに別の人間の顔になっていくんだろうか。


そう思いうと背中に汗が流れて行った。


心臓はドクドクと脈打っている。


荒い呼吸を繰り返しながら、あたしは薬を握りしめた。


傷口は口を開けてなにかを喋っているようだけれど、それは日本語にはなっていなかった。


声量も小さくて、この距離でもようやく聞き取れる程度だった。