「なに言ってるの雄生」


自分の声が震えていた。


元々あたしと雄生が付き合うキッカケになったのは、あのジンクスだった。


おつねのジンクス。


だけどあれは呪いだったはずなのに……!


まさか、ジンクスまで本物だったと言うのだろうか。


「ごめん。俺春子のことが好きだったはずなんだ」


突然出て来た春子の名前にあたしは言葉を失ってしまった。


だって春子はおつねの子孫なんだから。


「雄生ってまさか……」


おつねの恋人の子孫じゃないよね?


時を超えて惹かれあう。


そのくらいの力が2人には感じられた。


「ごめんアズサ。俺、どうしてアズサのことが好きだったのか、全然覚えていないんだ……」


雄生のその声が、暗闇へと吸い込まれそして消えて行ったのだった……。