一瞬引き込まれそうになるが体勢を立て直し、あたしはその手を握りしめた。


「こっちよ! 陽の光はこっち!」


土の中のおつねへ向けてそう言いながら、力付くで引っ張る。


おつねの手はとても冷たくて、触れられている箇所から凍って行ってしまいそうだった。


それでもあたしは手を離さなかった。


絶対におつねをここから引っ張り出すんだ。


「なにしてる!?」


男性の声にハッとして振り向いた。


そこに立っていたのは懐中電灯を手にした数人の近所の人たちだった。


おつねの悲鳴やあたしたちの声を聞いて、かけつけてきたんだろう。


「手伝ってください!」


雄生がそう叫んでいた。


「ここに人の顔が埋められているんです! 手伝ってください!」


雄生の言葉に戸惑う男たち。


おつねの腕の力が強くなり、体ごと持っていかれてしまいそうになる。