おつねが悲鳴に近い声を上げた。


背中の皮膚が強く引っ張られるのを感じる。


おつねの強い怒りがパワーとなり、あたしの体を乗っ取ろうとしているかのようだ。


「聞いておつねさん。ここはあなたの家よ。なにか、思い当たったり感じたりすることはない?」


あたしはできるだけおだやかな口調でそう言った。


背中の皮膚がビリビリとしびれるように痛い。


このままだと、あたしは完全におつねになってしまうだろう。


「私はずっと屋敷の奥にいた。窓から見えるのは大きな山。本当は表へ出たかった。陽の当たる場所にいたかった」


陽の当たる場所……。


あたしはハッとっして校舎を振り向いた。


校舎の裏山は他の人が持ち主だった。


もしかしたらあの山だけは100年前から変わらずあるのかもしれない。


それなら、陽の当たる場所は……「グラウンド」あたしが小さく呟いた瞬間、おつねが叫んだ。


全身がビリビリと震えるほど大きな悲鳴。


それと共に背中の皮膚がブチブチと音を立てて千切れて行くのを感じた。