地図上から探していた時よりも随分と絞られたけれど、それでも敷地面積はひろい。


そう考えていた時、校舎の横から人影が歩いてくるのが見えてあたしたちは足を止めた。


その人物は迷うことなくこちらへ向かってきている。


「誰だろう」


春子のお父さんがそう呟いた時、その人物の顔が月明かりに照らし出された。


その瞬間あたしは息を飲んでいた。


それは沙和だったのだ。


沙和は血走った目でこちらを睨みつき、大股で近づいて来ているのだ。


あたしにおつねの呪いをかけたのは沙和だった。


あたしは雄生の背中に隠れた。


「なんでこんなところにいるんだ」


雄生がそう聞いた時、沙和がポケットから何かを取り出した。


暗闇の中で時折キラリと光るそれは、小型のナイフだ。


背中がぞっと寒くなると同時に、背中のおつねが「あああぁぁぁ!!」と奇声を上げた。