「さて、いよいよ体育祭も終盤に近づいてきました!学年別クラス対抗リレーのトリを飾るのはやっぱり3年生!
さぁ、1位の栄光を手に入れるのはどのクラスなのでしょうかっ!?」


時間制なのか、騎馬戦の時とは違う放送部の声に耳を傾けていると、リレーの第1走者が一斉に走り出した。


「祐樹くん、最後も頑張って1位とろうね」


俺の前に走る予定の彼女は、かがんだままの体勢でこっちを向いてくる。


「そうだね。ここまできたからには頑張りたいとは思ってるよ……でも、なんでこの学校は、1人1周ずつ走るのかな。普通は半周くらいだと思うんだけど」


練習の時から思っていた不満を口に出せば、
彼女は微笑を浮かべた。


「その疑問の答えは残念ながら知らないな。
でも、これで1位をとればうちのクラスが総合優勝だってことは知ってる」


「それは、本当に頑張らないとだね」


「恨まれたら大変だ」と言って笑い合っていると、隣から不穏な視線を感じて俺はゆっくりと振り向いた。