「おい……っ!」


興奮さめやらぬ様子のグラウンドを背に給水所に向かうと、背後からぶっきらぼうに声をかけられた。


「なに?」


「柑菜との関係は……っ」


「勝負には俺が勝ったんだし、君に教える義務はないよ」


笑みを見せながら言えば、彼は悔しそうに顔を歪めた。


「なんて、嘘だよ。教えてあげ……」


「リレーっ!」


「え?」


途中で口を挟んだ彼に目を丸くすると、彼は必死な顔でこっちを見る。


「最後のクラス対抗リレー、お前も俺も最終走者だ!
そこで勝ったら柑菜との関係を教えろ!」


「それって、全体の走力が同じじゃないと成り立たないんじゃ……って」


「じゃーな!」


言い終える前に走り出して行ってしまった彼に苦笑をこぼしてから、「…しょうがない」と
つぶやいた俺はグラウンドに戻って行った。