「続いて始まりますのは、皆さんお待ちかねの
騎馬戦です!
体育祭といえばやっぱりこれでしょう!
さぁ、男たちの熱き戦いが今、始まろうとしています!」


放送部の元気な声がグラウンドに渡れば、会場は夏の暑さも忘れたように沸き立つ。


宣戦布告した相手は、今にも飛び出しそうな形相で向こう側に構えていた。


「これは、負けるかも」


彼の姿に苦笑していると、先生がピストルを上に向ける。


もう聞き慣れた開始の合図が響き渡れば、周りは一斉に飛び出した。


「祐樹!どっから行く!?」


下で支えてくれているクラスメートの声に、
俺は落ち着いた口調で返す。


「そうだね、まずは取りやすそうなところから攻めようか。
向こうのハチマキを取りに行こう」


右手で奥を指すと、指示に受けた彼らは元気に走り出した。