「確かに、佐城さんとは最近よく話すかな」


「………付き合ってんのか」


「え?」


急に発せられた予想外の言葉に、思わずクエスチョンマークが出た。


「……だから、付き合ってんのかって」


イラついたような、悲しそうな、なんともいえない表情で言った彼に、俺は少し考えてから尋ねる。


「名前、なんていうの?」


「は…?」


「だから、君の名前」


「………逢田凪(アイダナギ)」


しかめっ面のまま渋々答えた彼に、俺は満足して彼を指さす。


「……?」


「逢田くん。ここにいるってことは、騎馬戦に出るんだよね?
もし君が俺に騎馬戦で勝てたら、佐城さんと俺の関係を教えてあげるよ」


「は?何言って…」


「ちょうど、やる気と戦意を失いそうなところだったんだ。
どうせなら目標があった方が、頑張れるよね」


「え、ちょっ……おい!」


目を見開いたままの彼に余裕の笑みを見せてから、俺はグラウンドに向かって歩き出した。