お母さんを見送ると今日子どもたちに読む本を考える。
今日は何にしよう……
そう悩んでいると
「シンデレラがいいんじゃない?」
そう言って私のベットに座ってきたのはつぼみだ。
つぼみは私と同い年の女の子。
ベットも隣でよく話をする。
彼女は病院での唯一の友だちだ。
私もつぼみも人見知りで話し相手もなかなかいない。
「そういえば王子様は見つかったの?」
「え?」
つぼみの純粋な質問に少し戸惑った。
王子様か……
最近、私は王子様なんていない、そう思うようになっていた。
そのことをどこかでつぼみはどこかで感じていたんだろう。
なんて返したらいいのだろう………
「ごめんね、変なこと聞いて」
「ううん、大丈夫」
「待ってれば王子様が来てくれるよ、きっと」
「うん、そうだよね。ありがと」
そう言って笑顔をつくった。
でも、私は王子様を待つことをやめよう。そう思っていた。