~結姫side~

「すごい!きれい」

夜空に大きな花火が上がっている。

今は柊馬と2人で歩いている。

なぜかというと途中でみんなとはぐれてしまったからだ。

射的の屋台を通り過ぎようとした時だった。

景品の中にあるクマのぬいぐるみが目に入った。

私がしばらくの間立ち止まっていると「結姫」と声がした。

そこには少し怖い顔をした柊馬が立っていた。

あっ私ぼーっとしてて柊馬とはぐれちゃったんだ。

きっと柊馬は必死に人ごみの中を探してくれていたのだろう。

「勝手にいなくなって、ごめんなさい」

きっと優しい柊馬でも怒るのだろう。

私は身構えた。

しかし

「射的がやりたいの?」

と予想外の言葉が返ってきたので驚いてしまった。

私は彼の優しい言葉に小さくうなずいた。

なんだか恥ずかしい……

「やってみる?」

柊馬に優しく聞かれ、さらに恥ずかしさが増す。

「じゃあ1回だけ」

と小さな声でこたえた。

「どれを狙う?」

「あのね~あれ」

とクマのぬいぐるみを指さした。

「そうか、頑張れ」