「きれいな人だね」

と結姫が笑顔で言った。

「凛子は俺の幼なじみなんだ」

「そうなんだ……」

結姫は悲しそうな顔をした。

「どうした?」

「なんでもないよ」

「そうか。じゃあ行こうか」

そう言って彼女に手を差し出した。

しかし彼女は俺の手を取らず歩き出した。

どうしたのだろう……

2人の間に気まずい空気が流れていた。

すると「大スターマイン」とアナウンスが聞こえた。

「すごい」

結姫がとなりで目を輝かせながら花火を見ていた。

その横顔は美しかった。

再び鼓動が速くなっていることに気がついた。

なぜだろう……

そんなことを考えていると彼女と目が合った。

視線をそらそうと思ったが、なぜか目をそらすことができない。

俺たちはしばらくの間見つめあっていた。

すると「おーい!」と聞き覚えのある声がした。

声のした方を見ると大輝が大きく手を振っていた。

みんなはこちらに歩いてくると私たちのとなりに並んだ。

それから俺たちは夜空に打ちあがる花火をずっと眺めていた。