「やってみる?」
「じゃあ1回だけ」
と結姫はうれしそうに言った。
「どれを狙う?」
「あのね~あれ」
そう言って彼女は迷わずクマのぬいぐるみを指さした。
「そうか、頑張れ」
「うん」
そう言うと彼女は銃をかまえ、狙いを定め引き金を引いた。
パンッ
玉はぬいぐるみに的中した。
彼女はぬいぐるみを受け取るとうれしそうに笑った。
「姉ちゃんたちはカップルかい?」
いきなり屋台のおじさんに声をかけられ驚いた。
「ちがいます、友だちですよ」
俺がそう冷静に答えるとおじさんは残念そうに「そうかい」と残念そうに言った。
結姫をみるとなぜか悲しそうな顔をしていた。
「結姫?」
不思議に思い彼女に声をかけた。
彼女は俺の顔を見ず「みんなを探そう」そう言って歩き出した。
「まて」
俺は彼女の手を掴んだ。
「誰かさんがまたそこかに行ったら困るからな」
そう言って彼女の手を握った。
「うん……」
彼女はそう言うとゆっくりと俺の手を握り返した。
自分の心臓の鼓動が速くなっていることに気がついた。
なぜだろう……?