~結馬side~

「すごい!きれい」

そう俺のとなりではしゃいでいるのは結姫だ。

俺たちは6人で来ていたのだが、途中で4人とはぐれてしまった。

それにしても結姫は花火を見たり屋台を見たりととてもいそがしそうだ。

花火か。

こんなに近くで見るのは久しぶりだ。

小さい頃はよく家族と来ていたのだが中学校に入った頃から部活終わりに来るというのがつらく家から見るようになっていった。

久しぶりの花火はとても美しかった。

「きれいだな」と結姫に話しかけようととなりを見ると彼女の姿がない。

「結姫」

花火大会は人が多く探し出すのが大変だ。

もし彼女に何かあったら取返しのつかないことになってしまうかもしれない。

俺は人ごみの中を必死に探した。

すると結姫が1つの屋台の前で止まっているのが見えた。

俺は胸をなでおろすと彼女のもとへ向かった。

結姫は射的の屋台を見ていた。

「結姫」

俺が声をかけると

「勝手にいなくなってごめんなさい!」

と申し訳なさそうに頭を下げた。

「射的がやりたいの?」

すると彼女は小さくうなずいた。