~結姫side~

「わ~おにがきた!」

「逃げろ~!」

子どもたちが楽しそうにおにごっこをしている。

そんな様子をベンチから眺めていた。

「あ!お兄ちゃんたちだ!」

そう言うと1人の男の子が走って行った。

男の子は大輝と柊馬と昂を引っ張ってくると「おにごっこをしよう!」とうれしそうに言った。

「いいぞ!俺がおにだ!」

大輝はやる気満々だ。

柊馬はあきらたように「うん」と言った。や

「ぼくはいい」

と昂は病院の方へ戻ろうとした。

バチンッ

え、なに!?

とても痛そうな音がした。

「何言ってんだお前もおにをやるんだよ!」

と大輝が昂の背中を思いっきり叩いていた。

「いっよりによってなんで俺がおになんか……」

昂はそう文句を言っていたが「行くぞっ!」と強引に大輝に引っ張られていった。

私とみさとと愛梨はベンチに座って話をしていた。

子どもたちがはしゃいでいる。

高校生3人と子ども15人のおにごっこは見ていてとても面白かった。

「はあ……はあ……ガキども速えよ」

大輝はそう言って地面に座り込んだ。

「大輝お兄ちゃん早く~」

「つまんないよ~」

子どもたちがつまらなそうに叫んでいる。

「大輝しっかり~」

「大輝頑張って」

みさとと愛梨が大輝に向かって叫んだ。

すると大輝はいきおいよくこちらを見ると

「お前らもおにをやれ!」

と大きな声で言うと2人をつれて行ってしまった。

私はまた1人でおにごっこを見ていた。

みんな子どものようにさわいでいる。

昂だけは日陰に立っていた。

おにごっこの様子を見ていると、ふと柊馬が目に入った。

彼は楽しそうに走り回っていた。

あんなに無邪気にはしゃぐ柊馬は初めて見た。

すると柊馬と目が合った。

私は彼の姿をずっと見ていたのだ。

私はいそいで目をそらした。

恥ずかしくて顔が熱い。

でもそれだけじゃない。

なんだか心臓の音がうるさい。

「どうした?」

優しい声がした。

ゆっくりと声のする方を見ると柊馬が心配そうに私を見下ろしている。

「べつに」

私は笑顔をつくった。

「そうか。となりにすわってもいいか?」

「うん」

そういうと柊馬は私のとなりに座った。

「楽しそうだな」

と彼はみんなを見て笑って言った。