「おはよ、王子」
ここはごく普通の高校。
学校の周りには多くのビルが立ち並び、多くの人や車が行きかっている。
「おはよう昂。あのさ、朝から王子はやめてくれないかな」
昂は「フッ」そう不気味に笑うと静かに席に着いた。
王子。
それは友だちが勝手につけたあだ名。俺には王子というあだ名の理由もわからないし、誰も教えてくれない。
だから呼ばれても曖昧な返事しかできない。
正直俺はこのあだ名が苦手だ。
「おはよう柊馬」
「柊馬くんおはよう」
「ああ、みさと、愛梨おはよう」
キーンコーンカーンコーン……
学校のチャイムが鳴る。