それから彼は毎日のように中庭のベンチに来てくれた。

私たちは次第にうちとけ、敬語で話すことも、名字で呼び合うこともなくなっていった。

そんなある日のことだった。

「今日で大輝が退院するんだ」

「そっか!よかったね!」

「それで今日、みんながくるんだ」

柊馬はとてもうれしそうに言った。

友だちの話をする柊馬はいつも楽しそうだった。

よっぽどその人たちのことが好きなのだろう。

「それで結姫にみんなを紹介したいんだ」

「む、むりだよ……」

「大丈夫、みんな面白くて優しいやつらだから」

そう言って無邪気に笑った。

彼に大丈夫と言われるとなんだか安心してしまう。

「わかったよ……」

そう言うと柊馬はうれしそうに「そうか!」と言った。

何だろう。

すごくドキドキする……