「はい」
うれしかった。
絵本や子どもたちについて聞いてくれて。
今までそんな人はいなかったから。
「どんな絵本を読んでいるんですか?」
「えっと……おとぎ話です。赤ずきんやシンデレラや白雪姫」
「すてきですね」
そう言って彼は笑った。
「もし答えたくないようだったらこたえなくても大丈夫なんですけど……」
やっぱり病気について聞かれてしまうのだろうか。
そう思った。
しかし彼の口から出た言葉は違うものだった。
「なんで白雪姫ってよばれているんですか?」
「えっ」
そんなこと聞かれるなんて思っていなかった。
「い、いやだったらこたえなくても大丈夫です」
彼は申し訳なさそうに言った。
「白雪姫に似ているから……」
「え?」
恥ずかしくて小さな声になってしまった。
「この絵本の白雪姫に似ているから……」
すごく恥ずかしい……
「ほんとうだ」
彼は私に優しく微笑んだ。