私とつぼみは森の中を歩いていた。
セミの声がうるさい。
でも夏って感じでなんだかうれしい。
「ねえ、川の方に行かない?」
「うん」
私たちは森の中にある小川へ向かった。
そこは水がきれいで小さな魚や植物など様々な生き物たちがいる。
私たちは靴を脱ぎ川の中へ入った。
水が冷たくて気持ちいい。
葉の間から差し込む光がとてもきれいだ。
「あっ」とつぼみが小さな声でつぶやいた。
彼女の見ている先を見ると結城さんが立っていた。
彼は車いすの人と一緒にいた。
すると車いすの人は彼に何かを言うと、どこかへ行ってしまった。
「じゃあ私も先に帰ってるね」
そう言ってつぼみも病院に向かって歩いて行ってしまった。
「まってよ!」
私が慌てて川から出て靴を履き、つぼみをおいかけようとした。
ふと彼と目が合った。
あ……
私は立ち止まってしまった。
どうすればいいのかわからない。
でも会いたいと思っていた人に会えたから、私は勇気を出して彼に話しかけることにした。
「あの……」