すると

「あなたの名前は……?」

と言った彼女は俺を真っすぐに見たままだ。

少し戸惑った。

彼女から名前を聞かれるとは思っていなかった。

俺は目を見開いていた。

そんな様子を不思議そうに見ている。

「あ、結城柊馬です」

と俺があわててこたえると、彼女は少し驚いたような顔をした。

「白雪姫はやく~」

中庭のほうから子どもたちの声がする。

「今行くね」

そう言うと彼女は小さくお辞儀をして中庭へ向かった。