~柊馬side~

あれから数日後、俺は再び病院に来ていた。

みんな部活や勉強が忙しく、全員で来ることが難しい。

そのため、ひまな人が見舞いに行くことになっている。

「今日は柊馬かよ~」

「悪かったな、俺で」

せっかく来ているのに大輝はお礼も言わず文句しか言わない。

なんだか寂しい気がするな~

中庭のそばを通った時だった。

「白雪姫、絵本読んで!」

「この前の続きね!」

そこには中庭のベンチに座り、子どもたちに絵本を読んでいる彼女の姿があった。

「白雪姫……」

俺がそうつぶやくと

「ああ、あの子は白雪姫って呼ばれてるんだ」

白雪姫……

確かに白い肌に赤いほほと唇。

本当に白雪姫のように美しい……

「おい柊馬、おーい」

大輝の大きな声で我に返った。

「あ、すまない」

「なにぼーっとしてんだよ。まさかお前、白雪姫に見とれてたのか?」

大輝はいたずらに笑った。

「ちがっ」

俺があわてて否定しようとすると

「まあ照れんなって」

と大輝に強く背中を叩かれた。

「いった」

「よっしゃ、部屋もどんぞ~」

なんて勝手なやつなんだ……

俺はため息をつき車いすをおしながら大輝の病室へ戻った。