~結姫side~

「遅い」

病室に戻ると怖い顔をして腕を組んでいる明子さんがいた。

「ごめんなさい」

「しょうがない。また遅れることがないようにね」



薬を飲み明子さんと少し話していると病室のドアが開いた。

「結姫~!」

そう言って飛び込んできたのは良子だった。

「どうしたの?」

そしてそれから30分ほど良子の部活の愚痴を聴いていた。

「あ!良子ちゃん!」

そう嬉しそうに入ってきたのはつぼみだ。

つぼみも毎日良子が私に会いに来るのもあって2人も仲がいいのだ。

「何の話してたの?」

「それがね……」

またそこから1時間ほど女子トークで盛り上がった。

「私そろそろ帰らないと」

「うん」

「また明日ね」

私とつぼみは良子を見送るとベットへ戻った。

「つぼみ……今日の検査どうだった?」

「うん……」

つぼみはうつむいた。

その時のつぼみの顔はとても悲しそうに見えた。

「つぼみ?」

どうしたのだろうか。

心配になり彼女の名前を呼ぶと

「あ、なんでもないよ。大丈夫」

とつぼみは笑いながら答えた。

本当に大丈夫かな……

「結姫ちゃん、今日はなんかいいことあった?」

「え?」

「もしかして……王子様にであったとか!」

つぼみは嬉しそうに私に言った。

「そ、そんな王子様なんて……」

「そっかあ」

とつぼみは「残念」といった感じだ。

「どうして?」

そうつぼみに問いかけると

「なんだかいつもと違う感じがしたの」

「違う?」

「そう。まるで何かを見つけたかのように」

「何か?」

「うん。だからその見つけたものって王子様なのかなって、勝手に思っただけ」