私の家は、私を含めて4人兄弟。4つ上のお姉ちゃん。1つ下の弟。5つ下の妹。私の親は私が小学校2年生のときに離婚していて、母子家庭だった。
お母さんは、隣駅のファミレスで夜に働いていた。
小学5年生のときに、ファミレスで仕事をしていたお母さんに一目惚れした(らしい)男の人がやってきた。
初めは優しかったけど、一緒に住むようになって性格のちがいなどから喧嘩するようになった。
髪の毛を引っ張られたり、蹴られたり。そんなのは毎日だった。
それでも幸せそうなお母さんをみていると、別れてほしいなんて言えなかった。日に日につのるストレス。
私はストレスの発散と、自分の精神を保つためだけに、リストカット(略してリスカ)をするようになった。
リスカをすると落ち着くことができた。してはいけない。頭では分かっていても辞めることはできなかった。
郡市大会の団体戦の夜。
私はいつも以上の喧嘩をした。
蹴られて、髪の毛を引っ張られ、怒鳴られ。
そんな私をみてお母さんも泣いていた。
もともとそこまで強くないお母さん。
いつも強く、かっこよかったお母さんが、ずっとずっと泣いていた。
お母さん自身も、もうどうにもできなかったのだと思う。
部屋に戻って泣いていた私に、お母さんは馬乗りになり、私の首を強く。強く。しめつけてきた。
(あぁ。私は死んだ方がいいのかな)
苦しいと思いながらもそんなことを考えていた。
首をしめていた力を緩め、私に言った。
「とあ、明日からおじいちゃんの所へ行きなさい。」
私は、見捨てられるんだ。
そう思った。
子供の私よりも、自分の好きな人を選ぶのだ。子供を守るために別れるのではなく、自分の父親へ預けるという方法を選んだ。
大会の次の日のため、部活は休みだった。お姉ちゃんと2人で歩いて1時間程のおじいちゃんの家へ行った。