先生はずっと階段を登り続ける。



そして、屋上の前で立ち止まった。



「先生、ここって屋上だよ?」



「見たらわかるわ」



馬鹿なのかもしれない。



屋上は立ち入り禁止で鍵も閉まってるし、チェーンが貼ってあるというのになんでここに連れてきたんだろう。



この殺風景な場所になんの魅力も感じない。



「じゃじゃーん、鍵〜〜」



「…えっ、ちょ先生まさか」



私の慌てふためる声を無視して先生は躊躇なくチェワをを超えて、鍵穴に鍵を指しこんで回した。



ガチャリと音を鳴らしたドアノブを先生が回して押すと、簡単にドアは開いた。



「来いよ」



「え〜捕まったりしない?不法侵入とかいって訴えられたりとか」



「馬鹿こんくらいで捕まるかよ
見つかったら怒られるだけだろ」



「…まあ、先生に無理やり連れてこられたって言えばいいか」



「それは余計な誤解までうんでしまうからヤメテ」



勢いよく足を踏み出すと、急に冷たい風が私の頬を撫でた。



ぶるっと震える体をさすり、カーディガンの袖をぐっと引っ張り出した。



「どうだ、なんか感じるか?」