「失礼します」



入室する時も、色々と手順が面倒な職員室。



教室は寒くて凍え死にそうで、授業中も手が震えて字がうまく描けないし、



それなのに、先生たちはこのエアコンがガンガン効いた部屋でぬくぬくと過ごして、その暖かさは、ドアを閉めて生徒の長居を禁じて、わけてくれない。



先生はずるいからあんまり好きじゃない。



「ああ、島内こっち」



顧問である城野先生が手招きで私を呼ぶ。



歩いていって、前に立つ。



「また佳作」



そう言って賞状を雑に私に押し付けた。



佳作か。



正直賞に入っただけでもすごいと思う。



あれは今までで1番にひどい出来だった。



「まだスランプから抜けきれてないの?
天才少女なんて呼ばれてるのにこんなことでいいの?」



「別に私は天才なんかじゃないです」



「はあ…ねえ、あなたはこの学校一番の期待の星なのよ?高校だってこのままじゃ美術推薦とれないかもしれないわよ」



「自力で行きます」



「言っちゃ悪いけど、あなたあまり学力は高くないでしょ?」



「勉強すればいいじゃないですか。
もう私のことはほっといてください」



この先生は自分の評価を上げることしか考えてない。



だから私にいい賞をとってほしいのだ。



だけど、なんで私が先生のために賞を取らなきゃいけないの



ううん。例え取ってあげたくても今の私には無理なんだ。