足の遅い私なりに必死に階段を駆け下りて、やっと2階に着いた時には、呼吸が乱れ、足はもつれていた。



会社の飲み会から帰って来たお父さんみたいな足取りで、教室の後ろのドアに近寄って覗き込む。



中央らへんにある私の席だけぽっかりと空いていてなんだか不自然だ。



入りにくいなあ。



心の中で喝を入れて、教室の中に入った。



「遅れてすみません」



震える声で言うと、ペリー先生はジロッと私を睨みつけた。



「何か理由があるんだろう。言いなさい」



低い声で、そう問いかけてくる。



教室中の視線は私に集中していて、恥ずかしくて今すぐこの床の下に沈みたい。



なんて言えばいいんだろう。



屋上に行ってましたなんて言えるわけがない。



保健室に行ってましたなんて嘘をついてもきっとこの先生なら保健の先生に裏を取りに行くから、本末転倒だ。



「あの…その」



絞り出せるのはそんな気弱なセリフだけ。