ほんとは自由にデザインした絵をキャンバスいっぱいに描きたい。



「はあー……」



「でっけーため息だな」



「うわっ!」



重いため息をついた瞬間、背後から声がして飛び上がる。



振り返ると、そこには平田先生がいた。



いつ来たんだろう。



昔から集中したら全く周りが見えなくなるんだ。



そのせいでよくドッキリの対象にされる。
なんでも反応が面白くて気持ちいいらしい。



まったくやられる方の身にもなってほしい。
何年分寿命が縮んでるからわからない。



「そんなびっくりするか?
…まだ書けないのか」



私の真っ白のキャンバスをちらっと一瞥してそう聞いて来た。



「うん、そうだね。
それで何しに来たの?」



「あのなあ、鍵貰いに行くっつっただろ」



「ああ、」



納得して手をパチンと合わせたら、その瞬間先生の背後から感じる鋭い視線に気づいた。



そうだった。やらかした。



平田ガールズを怒らせてしまうじゃないか。
いやもう怒らせてるか。



何もやってないのに怒られてるんだから、
何かやったらどんな恐ろしい目に合うことか。