とあるカップルの過ごし方



「今日はこのまま一緒に居ていい?」


立っていた玲央くんは私の近くまで来てしゃがみ込んでそう聞いてきた

か、顔が近いっ!

いちいちドキドキしちゃう……


「も、もちろんだよ!こたつあったかい……玲央くんも入って入って〜」


そうは言ったけど、こたつって狭いから実際に隣に来られると……


「めっちゃ近いな」


────ボッ

顔が真っ赤になってる。絶対。

改めて言われると恥ずかしい……

玲央くんはたまにわざとこういうことを言っていじわるしてくる

私が照れるって分かってるのに……!!

いじられないように慌てて顔を隠すけど、すでに見られてしまってたみたいで……


「ふっ……可愛いな」


なんて、またドキドキするようなことを……!!

っていうか、今鼻で笑ったよね?!

……恥ずかしい


イジワルな笑みを浮かべてるけど、目は優しくて、それをこっちに向けてくる

だから余計に照れちゃうんだ……!

照れ隠しにこたつの上にあるみかんをぱくり

でも玲央くんはそこはぬかりなく、


「みのり、俺にもちょうだい」


……仕方ないから心優しい私は分け与えるとする


「はい、どーぞ」

「違う」

「……?」

「あーん」

「……!??」


って、口を開いて待ってる

ちょうだいって言うから半分あげようとしたのに……!

あーんを催促されるとは思わなかった

あーんなんて……恥ずかしいから無理!!


「はーやーくー」


うわぁぁぁん!

玲央くんは私をいじめるプロだ!!

私が躊躇してるとそれを急かしてくる


「ばかっ!」


恨みを込めて半分を一気に口に押し込んであげた

えっへん

苦しむがいいー!!

甘々な雰囲気なんて寄せ付けないんだもんー!


「ん。……ごちそうさま」

「え????」


半分ってきついと思ったんだけど……?

ケロッとした顔をしてさらには笑みまで浮かべられた

食べるの早いし!!

みかん半分食べられただけで損した気分……

むぅ…………。ムカつく!!






────ぎゅっ


え……ちょっと待って……心臓がぎゅんってなる……急に抱きしめないで……うぁぁぁぁ……


「み、かんの、お礼……?」

「違う。俺が抱きしめたかっただけ」


うわぁぁぁぁぁ……!!

またそんなこと言う!!またドキドキさせる!


「あったかい」


私は顔が真っ赤になりすぎてて、むしろ暑いです

ってか、こたつに全身入ればあったかいよ……だから……離れて……ドキドキしすぎて心臓壊れちゃうよ……


眠そうな声出してるけど、間違っても私にのしかかったまま寝ないでね……?

このままずっとこれってきついからね???


「れ、玲央くん!そろそろ離れてくだしゃい!」


か、噛んだっ!!

変なところで噛んだ!!!


「無理。今噛んだから。可愛い」


もっと抱きしめる力を強くされた


なにそれ理由になってない!

く、苦しい……!

あと、もっと心臓が速くなりました……

こんなふうになっちゃうから甘々なラブラブ苦手なんです……


ちょっとしたことでもドキドキしちゃうの

毎日手を繋いで帰ってるんだけど、それもまだ慣れない

なにより玲央くんはイケメンだから注目を浴びる

隣にいる私は可愛いわけじゃないんだよね

ほんと、なんで私のこと好きになったのかわかんないしいつも不安なんだよ

イチャイチャラブラブは8割くらい断っちゃうもん!


いつか飽きられそう……



そう思うと、不安になっちゃって


────ぎゅーっ


抱き返しちゃうの

私から離れないでねって

たまーに、勇気を出して頑張る

イチャイチャ頑張るから私の事好きでいてねって


気持ちを込めるの


「……っ!あーもー!それずるい!」

「……ん?なにが……?」

「それ!たまに甘えてくるの!ほんと可愛すぎだから」

「……うー!」

「変な声出さない!」

「はーい……」


可愛いって言いすぎだもん……照れるから、うなるにきまってる……


私は単純でだから、可愛いって言われる度に胸がきゅんってなるの

何回言われても慣れないんだ


でもね……?


玲央くんの真っ赤になった耳がチラって見えてね

玲央くんも慣れてないんだなってわかってそれでまた嬉しくなるの

2人でドキドキしながらこれからも幸せになろうね

「玲央くん、だーいすき」


────ちゅっ


今日の私は大胆

ほっぺにちゅー……しちゃった

……えへへ

玲央くん、びっくりしてる

どうか、私の愛が伝わっていますように






……寒い

やっぱりこたつに入るために帰ろうかなぁ

昨日は……あのあと、スイッチが入った玲央くんにたくさん甘やかされました……


『みのりが調子いい時にたくさん堪能しとかないと、な?』


にやって笑って……ぎゅーとか…

…………ちゅー……とか…

あぁっ!思い出すだけでも顔から火が出そう……!


今日はね、クリスマス当日

人が多い公園の時計の前

デートの待ち合わせ場所

こんなところ待ち合わせ場所にしたら……たくさんの人に見られちゃう

恥ずかしいよ…

……寒いし…


「みのり!ごめん待たせた」


昨日とはもちろん服装が違うけどもやっぱりかっこいい……

なにがどうとか、そのへんのセンスは疎いからわかんないけど、かっこいいってことは分かるんだよー!

キラキラしてるんだもん

顔がにやけちゃう……ふへへ……


「まずは……プレゼント選びかな」

「誰への?」

「お前のだよ!」

あれ……?買ってないの……?

私なんて気合い入れちゃって手作りのクッキーと……手編みのマフラーはさすがに引かれちゃうかなぁ?って思って市販のマフラーにしたんだけど…

手作りは手作りでも、クッキーなら食べ物でなくなっちゃうし重すぎないかなって思ったんだぁ

定番のクリスマスプレゼントかもしれないけど、変なものあげるよりはいいよね……?

マフラーは毎日使えるし!

使ってもらえるところを見る度に嬉しくなりそうだし……へへ


「アクセサリーを見たい」

玲央くんはそう言うとさりげなく私の手をとって歩き出した

いつの間にか車道側歩いてるし……こういうたまに紳士なところ見せるから……それに気づいてまたドキって

私って玲央くんのこと大好きすぎない……?

ずぅーっとドキドキしてる気しかしない……

嫌な感じはしないけどね!!




歩いているとチラチラ視線を感じる

今に始まったことじゃないしそろそろ慣れてくる

玲央くんはかっこいいから仕方ない

だけど、だけどさ!!

そんなにあからさまに狙った視線向けないでくれるかなぁ?!


「あの人かっこよすぎ〜♪」

「彼女持ちかぁ……残念」

隣にいる私を見てあからさまに肩を落とす彼女達

ふふん!

って鼻で笑ってにやっとする私は性格悪いですか?

知ってます

その証拠に女の子たちすごく怒った顔見せたもん

でもでも!ぜーったいに玲央くんは渡さないんだからぁー!

……そんな私の様子はバレていたらしくて…


「ばーか。なにしてんだよ。牽制張ってんの?」


ニヤニヤしながら聞いてくる


「し、知らない!」

「なぁ……別に俺がみのりから離れるとか有り得ないしそんなに嫉妬しなくていいのにな」

「……ぐぬぬ」

「なんつー声出してんだよばーか」


────ぽんぽん


笑いながら安心させるように頭を撫でてくる


その笑顔が一番好き…

頭撫でられるのも好き……!

どうしよう……好きが止まんない…

脳みそお花畑って思われたらどうしよう……!

ってかそうなりそうで怖い……!!
いや、既になってるかも?


「……んー!早く行こ!」


上にある手を払うように頭をぶんぶんとふってずんずんと先を歩き出す

恥ずかしいんだもん……心臓壊れちゃいそうだし


「ふっ……照れてんなよ」

玲央くんは余裕があるみたいで鼻で笑われた…

い、いつかぎゃふんって言わせてあげるんだもん!

そう決意しながら、玲央くんの行動に翻弄され、時間はすぎていった──






ふぅ、疲れたぁ

楽しかったし、嬉しかったけど、いっぱい歩いたしドキドキさせられて疲れちゃった…


「わぁ、綺麗」


疲れたけど、目の前の景色を見ると疲れが取れていくように感じる

たくさんのいろんな色をした光が……私何人ぶんかな……?30?40?そのくらいおっきいクリスマスツリーにたくさん散らばってる

その周りにはハートの形をしたイルミネーションや星の形をしたイルミネーション

ここにはたくさんのイルミネーションがあった

たくさんの綺麗な光が散らばっていた


この絶景を……


「玲央くん、今日はありがとう!」

「ん。こっちこそ。寒いのにありがとう」


……大好きな人と見れたことが幸せ

嫌味を言われちゃったけどね!

結局、クリスマスプレゼント選びにアクセサリーショップへ見に行ったものの、学生の手には届かなそうなお値段の高いものばかりで……

私が丁重にお断りしました……


代わりにあったかそうな可愛いぽんちょを買ってもらったの!

それも十分高そうで……でも、玲央くんが優しい顔で気にしなくていいって言うから……お礼を言ってありがたくもらったんだ

私がプレゼントを渡すと、


「え?手作り?やべー。すっげー嬉しい……」


にやける顔が止まらないという様子でこっちまでにやけそうになっちゃった

手作りのお菓子で喜んでくれるんなら一週間に一回くらいは作ってあげてもいいかもね……?



「みのり」

「……ん、なぁに」


────ぎゅー


目が合ったと同時に抱きしめられた

こ、こんなに人が多いところで!

は、恥ずかしいからぁー!!!


「めっちゃ好き。大好き」


う、あ、あ……

す、ストレートすぎて、心臓が……


「ふふっ……心臓の音すごいな」


笑われた!!バカにされた!!


「だ、だって、好きな人からされたらそりゃドキドキしちゃう」

「……お前ってほんと、急にぶっ込んでくるよなぁ……」


そう言って私の頭を胸に押し付けてくる


───ドキドキドキ


あ……玲央くんの心臓の音だ

私と同じくらい速い……


「玲央くんも私の事、大好きなんだね!」


満面の笑みを浮かべて玲央くんの顔を見上げる

そこには真っ赤にして照れた顔が

やっぱりイケメンだなぁ……


「うるせー。調子に乗んなよ?」


口調は荒いけど、照れ隠しだってわかってるから怖くないもーん

相思相愛、なんてわかったら調子に乗らずになんかいられない


「玲央くん、愛してる」

「…………?!!」


目を見開いてびっくりした顔してる

ふふふ……私だってたまにはやるんだから!

それに、クリスマスだし、いいよね?





「ったく、俺のセリフとんなっつーの。みのりのくせに」

ぼそっと私に文句を吐く玲央くん

俺のセリフ……?

ってことはつまり……?


「──俺の方が愛してんだよ。幸せにしてやる」


耳元で低い声で囁かれる

うわ、やばい、ぞくってした

声までイケメンってなに……?私を殺すつもりなの……?

キュン死しちゃうよ……

手を触られて、指に冷たいものが触れる

金属状のなにか


見るとそれは、


「え、これ、指輪……?」


アクセサリーショップで思わず見とれてしまったピンキーリング

可愛かったから見つめてたら、まさかの玲央くんにバレてたとは……

ほんと、もう……


「嬉しい。ありがとう」


いつも笑顔にしてくれる

これからもこんな私をよろしくおねがいします……!

あんまりいちゃいちゃ好きじゃないけど……玲央くんのために頑張るね