「いきなり何の用だ」


突然の訪問客は、高級ブランドの服を着こなす派手なネクタイの男だった。派手過ぎるような気もするけど、整った容姿と何よりその自信に満ち溢れたオーラで、そこまでおかしくはないけど......、そんなことよりも、誰?


「相変わらずつれないな。
せっかく兄がきてやったというのに、その態度はないだろう」  


勝手にソファに座った男は、嘲笑するような目で秋人を見る。   

兄......?
秋人のお兄さんなの?

クールな雰囲気の秋人とは全く雰囲気が違うけど、そう言われればどことなく似てるような気もする。


「ああ、初めまして。
もしかして、例の社長令嬢の?
結局結婚することにしたんだ?」


じっと見つめていると、秋人の兄だという男は、私に視線を向けた。

私のパパの知人である秋人のお父さんは、この人にとっても父に当たるわけだから、何か聞いているのもしれない。

そう思ったから事情を知っていても特に驚きはしなかったけど、どう説明すればいいのか。


「そうだ」


何て答えるべきか迷っていると、私が答える前に秋人が代わりに答えた。説明するのが面倒だったのか、たった一言で。