「は?」

「だから、結婚してあげてもいいわよ?」


職探しをした次の日、高級デパートの最上階の喫茶店に何度か私に言い寄ってきていた男を呼び出した。注文したフルーツハーブティーに一口口をつけたところで話を切り出す。


希望する条件での職探しが叶わなかった私は、路線を変更することにして、男を呼び出したのだ。

二十五才、働くのもいいけれど、私にはせかせか働くよりも、優雅な有閑マダムの方が合っているかもしれない。

目の前にいる男は、男としての魅力はそこまでないけれど、私に言い寄ってきていた数多くの男たちの中でも、家柄も職業も財産も申し分ない男。つまり、私の結婚相手としてはギリギリの合格ラインということ。


「......大体話は分かったけど、何でそんなに上から目線なの?むしろそっちが結婚してくださいって頼む立場じゃないの?」

「え?」


状況を理解していない男に、かいつまんで現在の状況を説明すると、男は心底呆れた顔をした。意味がわからない。
どうして私ほどの美人で価値のある女が、あなたに頼みこまなきゃいけないの?