歩いている途中、すれ違うカップルや家族を見ると伝えたくなった。
いや、違う。
伝えなきゃいけない気がした。
「あ、芽衣だ。」
信号の向こうでは、こっちに向かって手を振っている美女。
いつもと変わらない芽衣がいた。
『合流できた?』
「うん!ありがとね。」
『また帰る時連絡して。』
「了解しました!」
『気をつけて。』
「うん!ありがとう。」
奏多との電話を切って、私は前にいる芽衣に手を振った。
「めーいー!」
「おっ!桃、可愛いじゃん。」
「髪。」と芽衣が私の髪を触ったから、ポニーテールにしていたことを思い出した。
てゆか、芽衣の方が可愛いけどね。
カジュアルなショートパンツに、背中が空いた青のシャツ。
これを着こなせるの多分、一般人で芽衣くらい。