「あ、奏多、」


『んー?』


「今日の髪型どうしよっかなって。」




鏡に映った自分と目が合い、髪型に悩んでいたことを思い出した。


電話をスピーカーにして机に置き、私は鏡と向き合った。




「夏だからポニーテール?それとも巻き髪かなあ。んー、いつもみたいにストレート?」


『女子って大変だな。』




私の話を聞きながら、電話の向こうで小さく笑っている彼。


そしてこう言うの。




『どれでも可愛いよ。』




甘い。


甘すぎる。




「…そんなこと言ってたら決まんないよ。」


『だって本当だし。』