携帯を手に取り画面を見ると、それは愛しい人の名前。




「もしもし!」


『お、朝から元気だな。』




耳元で聞く彼の声はいつもみたいに優しくて、柔らかい。




『今日は何すんの?』


「今日はね、芽衣と買い物行って明日の浴衣買いに行く。」


『へえ、気をつけて行けよ。』


「うん!明日楽しみだね。」


『だな。』




瀬崎 奏多(セザキ カナタ)。


私の彼氏。



明日は奏多と夏祭りに行く約束をしている。


一緒に行く3度目の夏祭り。




「奏多は?今日何するの?」


『俺は1日本祭の準備。だから頑張るために桃に電話した。』


「なにそれ。」




付き合って2年8ヶ月。


飽きることのない“好き”。


どんどん増えていく“好き”。


付き合ってからの毎日、奏多にはドキドキされっぱなしだった。