私は彼らが好きだから、こんなことを言われたくなかった。


ただの負けず嫌いと独占欲だ。


それと、私は彼の何にでもないから。


それを否定するのが怖かった。




「調子のってんじゃないわよ!」




何も言えなくなった先輩は、近くにあったバケツを持ち上げて私に投げた。


嘘…、少し肌寒いこの季節に水は無しでしょ。


風邪ひいたらおばあちゃんに怒られるんだけどな。


そう思いながら目を瞑り、冷たい水を被る覚悟をした。



……………


……







「つめたー…。」




水の音の代わりに聞こえたのは、震えた声。


それは聞き慣れた声で、目を開けると、私の前に立っていたのは芽衣だった。




「芽衣!」


「へへっ…。」


「笑いごとじゃないよ!何で!」


「大丈夫?何にもされてない?」