「……居場所なら分かってる」
そう言って、寿永隊長は歩き出した。
私も彼の後を追いかける。
「あの、寿永隊長」
「何だ?」
「その箱、どうしたんですか?」
私はずっと気になっていた彼の持つ箱のことを問い掛けた。
大きさ的にはケーキだろうけど、何で持っているのだろう?
「お前と紅斗に土産だ。……汀を救出したら皆で食べるから早く終わらせよう」
私と紅斗に?
何気ない気遣いに顔がにやけそうになるが、今はそれどころじゃない。
急いで汀様を救出しないと……。
それで、皆でケーキを食べるんだ!
でも、皆でケーキを食べることは叶わない──。
それを知る時はすぐ目の前で、その時にはもう彼は私の前から消えてしまっていた──。