「別れたぁっ!?」


静かな店内に、萌の甲高い声が響く。

一気に店内の視線が集まっているにも関わらず、萌は体を前のめりにして問い詰めてきた。

慌てて、静かに! と言うけれど、興奮した萌は目を見開いて今にも飛び掛かってきそうだった。

そのあまりの姿に、思わず苦笑いを溢す。


「いつ!? どっちから!?」 

「せ、先週。一応あっちかな?」

「一応って何!?」

「私も別れようと思っていたから」

「早く言えばよかったのに!! これじゃぁ、柚葉がフラれたみたいじゃない!」


憤慨する萌を見て、なんだか可笑しくなる。

本当に別れたんだなぁなんて、こんな時に実感。


だって、私の生活は今も昔も変わっていないから。

気づいたら、私の生活の中から晶の存在が消えていたようなもんだった。