「分かったよ」


問いただすこともせずに、淡々とそう答えた。

何の抵抗もなく。

涙を流すわけでもなく。

縋るわけでもなく。

どこか切り捨てる様に。


しばらくの沈黙の後に、別れの言葉を告げて晶は電話を切った。

沢山の楽しかった思い出があるはずなのに、最後に浮かんだ彼氏の顔は笑顔ではなかった。



あっけなく終わりを告げた。

5年付き合った。

――5年も。

一時は、このまま結婚するものだと思っていた。

きっと、晶もそう思っていたはず。


だけど、働き出してお互いの居場所が違ってきて、すれ違いが増えてきた。

互いを必要としなくなった。

いてもいなくても、同じ。

心はいつしか、相手に向かなくなっていた。


その証拠に、ほら。

別れの時ですら、会おうとはせずに電話で終わってしまった。