先輩から聞いた、一ノ瀬さんの事。

若くして、あの会社のホープである事。

頭の回転が速くて、一緒に仕事をしていても助かるって事。

上司や部下の信頼もあつく、責任感がある事。

それでいてユーモアもあって、会話の引き出しが多い事。


まぁ、まとめると。

完璧だって事―――。


こんな凄い人と知り合えただけじゃなくって、こうやって2人で会う機会がある事、とても幸せな事だと思う。

自分にはないモノを沢山持っている彼は、何もない私からすれば眩しくて仕方ない。


「それにしても腹減ったな~」

「あ、この前美味しい洋食屋さん見つけたんです」

「マジ?  まぁ、そういう俺も最近いい店見つけたんだ」


心の中で少しづつ天秤が傾いていく。

大切なものが変わっていく。


「俺オムライスはケチャップ派だな」

「私もです!」


次会ったら、晶とは別れよう――。