おせっかいだと思う。

ましてや、1人暮らしの女の部屋に招き入れるなんて。

それでも、こんなびしょ濡れのまま帰すなんて嫌だった。



「今、タオル持ってきますね」


玄関に向かって叫びながら、クローゼットを開け放つ。

昨日たまたまだけど部屋を掃除した自分を褒めてあげたい。


「これで拭いてください」

「悪い。結局びしょ濡れになっちゃたな」


申し訳なさそうに玄関に佇んでいた彼をリビングに通して、お気に入りのタオルを渡す。

すると、それでガシガシと乱暴に頭を拭きだした一ノ瀬さんが、苦笑いを浮かべて言葉を落とした。


「逆に気使わせたな」


その言葉に、勢いよく顔を横に振る。

そんな事ない。と思って。


「おかげで、服は濡れませんでした」

「――」

「一ノ瀬さんのおかげです」


そう言った私に、彼は嬉しそうに一度笑った。