並んだ傘の中に、笑い声が響く。
まるで無邪気な子供の様に笑いながら話す一ノ瀬さんを見て、胸が一気に締め付けられた。
雨粒が宝石の様に輝いている。
世界が一気に輝きだした。
「ドラマとかにできるんじゃね?」
「あ、そういえば昔――」
つられる様にして笑いながら言葉を落とす。
それでも。
「危ないっ」
不意に大きな声でそう言われて、ビクリと肩が上がる。
それと同時に、突然道路沿いにいた一ノ瀬さんが私に覆いかぶさってきた。
その瞬間、すごい勢いで隣を通り抜けて行った車。
すると、運悪く側にあった水たまりが勢いよく私達にかかった。
案の定、一瞬にして足元がずぶ濡れになる。