「――――・・・・・・はい。よろしくお願いします」


ウロウロと辺りを動き回りながら、先程までの打合せの経過を話す。

手に持っていたメモ帳には、ビッシリと文字が並んでいた。


「はい。それでは、その方向で話を進めます」


概要を上司に話し終えて、電話を切る。

思わず零れそうになった溜息を飲み込んで、振り返ろうとした。

その時――。



「きゃっ」


突然頬に走った温かさに、思わず声をあげる。

驚いて振り返ると、悪戯っ子の様な顔で缶コーヒーを持つ一ノ瀬さんが私を見つめていた。


「お疲れさん」

「ん? え?」


突然の事で動揺する私に、彼は持っていた缶コーヒーを手渡してきた。

思わずそれを受け取ってしまった私は、それと目の前の彼を交互に見て目を丸くする。