「だからもう、離れたくない」


頬に添えられた暖かな手に私の涙が滑っていく。

一言も言葉を発しない私に、一ノ瀬さんはふっと小さく息の下で笑った。


「ずっと、俺の傍にいてほしい」


ねぇ。

私達は運命の相手だったのかな?

出会った時は、あなたはもう誰かのものだったけど。

だけど、萌の言う事がそうならば。

もし、ここで出会った事が『偶然』ならば。

私達は運命の相手なのかな――?


そうだと思いたい。

繋いだこの手が、もう二度と離れる事はないと思いたい。

何度も何度も、あなたと巡りあいたい。

それほど、あなたに出会えた事が私の人生の中で一番幸せな事だったから。


届いていますか?

誰よりも、あなたを愛している事を。

誰よりも、あなたを想っている事を。