ザァっと冷たい雨が頬を打つ。

締め付けられたままの胸が痛くて、泣いてしまいそうだった。

久しぶりに感じた胸の痛みに、心が悲鳴を上げる。


「……バカだな、私」


誤魔化すように、ははっと笑って空を見上げる。

それでも、グチャグチャになった心の中は一つも落ち着いてはくれない。


名前を聞いただけで、こんなにも反応するなんて。

ここ最近では、彼の顔も声も忘れていたくらいなのに。

先輩からあの話を聞いた時から、どうも調子が狂ってる。

心の奥に閉じ込めたはずの『弱い自分』が顔を出している。


ふふっと小さく笑って強く目を閉じる。

冷たい雨が顔に降り注いで、流れていく。


久しぶりに感じた、この胸の痛み。

狂ってしまいそうだった日々が蘇る。

胸の奥に隠した『会いたい』が、零れる。

見えない様にしていた想いが、再び私を狂わせる。