片づける仕事も片付け終わって、不意に窓の外に視線を向けた。

ビルの高層階に面するここからは、博多の街並みを一望できた。

東京の様に高層ビルが連なっているわけではないけど、色とりどりのライトが世界を覆っていて、とても綺麗だ。


一度ふぅっと小さく溜息を吐いて、パソコンを閉じる。

心の奥底で淡い期待をしていた自分を嘲笑うかのように。


「来るわけないじゃん」


会いに来てくれるはずがない。

迎えにきてくれるはずがない。

私達は、とうの昔に終わったんだから。


「帰ろう」


ふっと一度自嘲気に笑って席を立つ。

パチパチと電気を消して、足早に事務所を後にした。


「あ~お腹空いた」


こんな時は、ラーメンに限る。

大好物のものを頭に思い浮かべた瞬間、無意識に頬が緩んだ。

どうやら自分は思っている以上に食いしん坊らしい。