本当は不安で仕方なかった。
もしかして、面倒くさい事になったと分かって捨てられるのかと思った。
今までの思い出全部否定されて、出会わなかった事にされるのかと。
私の事、ただの煩わしい存在にされるのかと――。
「私も・・・・・・」
「うん」
「私も、会いたかった」
会いたくて、堪らなかった。
何を失っても、それでも会いたかった。
彼の笑顔さえあれば、それだけで生きていけると本気で思った。
「辛い思い、させた」
「奥さん・・・・・・大丈夫なの?」
「あぁ。もう少し、話し合う必要があるけど」
「そっか・・・・・・」
どこか現実離れした会話。
この恋が、薄汚れたものである証。
誰かを不幸にしてしまった。
分かっていた事なのに、自分の犯した罪の重さに押しつぶされそうになる。
自分の浅ましさに、吐き気がする。