会えて嬉しいはずなのに、悲しみが伸びていく。

辛そうに瞳を歪める彼の顔が、涙で歪む。

悲しみばかりが募って、息もままならない。


「どうして・・・・・・」

「――」

「奥さんは知ったの?」


微かな沈黙の後、ポツリと呟く。

ずっと気になっていた事。

いつ、どこで、バレたのだろう。


呟いた私の顔を見て、一ノ瀬さんは一度苦しそうに瞳を細めた。

そして、すっと伏し目がちになって重たい口を開いた。


「いつかは分からない。だけど、俺の会社の近くの公園で俺達が2人で会っているのを偶然見たらしい」

「――」

「それから疑いだして、俺の会社にいる友人に頼んだみたいだ」

「……頼んだ?」

「俺が不倫しているかもしれないから、見張っていてほしいって」


その言葉に、思わず目を見開く。

という事は、一ノ瀬さんと私がこういう関係にある事は、彼の会社の人達も知っているという事?