名前を呼ばれて、そのまま抱きしめられた。

息も出来ないほど、強く。

その瞬間、大好きな匂いに包まれて泣きそうになる。


――・・・・・・あぁ、やっと会えた。



「一ノ瀬さんっ」


それでも、彼の名前を紡いだ瞬間、涙が溢れた。

締め付けられていた胸の痛みが、一気に溢れだした。


この何週間の間、何度会いたいと思っただろう。

こんなにも誰かに会いたいと思ったのは初めてだった。

壊れてしましそうだと思ったのは初めてだった。



会いたかった。

壊れてしまうほど、会いたかったの。

あなたに――。