「何やってんだろ・・・・・・」


込み上げてくる涙を飲み込んで、ぐっと唇を噛み締める。

こうなる事は分かっていたのに、自ら足を運んだ自分に向けて自嘲気に笑った。


この場所は幸せな思い出に溢れている。

その反動で、辛さが胸を痛めつける。


会いたく、なる。

泣きたいほど、会いたくなる。

会いたくて、堪らなくなる。

名前もつけられない感情が湧き上がって、狂ってしまいそうになる。


~♪


逃げる様に強く瞳を閉じて、空を見上げて歌を口ずさむ。

思い出を断ち切る様に、必死に楽しい曲を。


しばらくして、曲の最後のフレーズを口ずさんだ瞬間、頬を優しい風が撫でた。

その中に混じる、懐かしい香り。

まるで導かれる様に、ゆっくりと瞳を開けた。

その時――。